原稿寄稿2026年8月号(成年後見・遺言)

NPO法人じんかれん(神奈川県精神保健福祉家族会連合会・神家連)の機関紙「じんかれんニュース」8月号に記事を寄稿しました。

2026年6月17日に可決成立した改正民法のうち、成年後見制度と遺言制度について執筆しています。

成年後見制度が26年ぶりに大きく変わります! 

可決成立:2026年6月17日

2026年6月17日、判断能力が不十分な人を支援する「成年後見制度」を見直す改正民法が、参議院本会議で可決・成立しました。成年後見制度が大きく見直されるのは、制度が始まった2000年以来、およそ26年ぶりです。
成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害などによ 
り、一人で契約や財産管理を行うことが困難な人を、家庭裁判所が選んだ後見人・保佐人・補助人など
が法律面から支える制度です。
これまでの制度は、本人を守るために大きな役割を果たしてきた一方で、「一度利用すると原則として亡くなるまで続く」「必要な場面だけ利用したいのに、それができない」「本人の意思よりも制度が優先されてしまうことがある」といった課題も指摘されていました。そのため、「制度を利用したくてもためらう」という声が少なくありませんでした。
今回の改正で最も大きく変わる点は、「必要なときに、必要な範囲だけ利用できる制度」へと変わることです。
例えば、親が亡くなり遺産分割の手続きだけ支援が必要な場合、その手続きが終われば成年後見を終   
了できるようになります。また、自宅を売却する、相続手続きを行う、大きな契約を結ぶなど、特定の   
法律行為だけを支援することも可能になります。これまでのように、生活全般を長期間支援することを     
前提とした制度ではなく、一人ひとりの状況に応じた柔軟な利用ができるようになります。
さらに、現在の「後見」「保佐」「補助」の三つの類型は、「補助」に一本化されます。本人の意思をできる限り尊重しながら、必要な権限だけを家庭裁判所が決める仕組みに変わります。

判断能力が特に不十分なため契約を取り消す権限などが必要な場合には、「特定補助」という仕組みにより、必要な権限を付与できる制度も設けられます。

精神障害のある方は、体調によって判断能力が回復する時期もあれば、支援が必要になる時期もあります。これまでは、一度成年後見制度を利用すると原則として亡くなるまで継続することが多く、後見人への報酬が毎月発生するため、経済的な負担が非常に重くなっていました。

新しい制度では、その時々の状況に応じて必要な支援を受けられるようになるため、本人の自己決定を尊重しながら必要な期間や権限を設計できる制度へ転換されます。

もちろん、制度が変わっても課題がなくなるわけではありません。制度を利用しやすくするためには、成年後見人などの担い手の確保や、市町村の相談体制の充実、地域で本人を支えるネットワークづくりも欠かせません。制度が実際に使いやすいものとなるよう、今後の運用にも注目していく必要があります。

なお、改正法は成立しましたが、すぐに新制度へ切り替わるわけではありません。施行は公布からおおむね2年6か月以内とされており、今後、具体的な運用方法が整備されていく予定です。

成年後見制度は、判断能力が十分ではない方に対して「本人の権利を守る制度」であると同時に、「本人らしい暮らしを支える制度」でもあります。今回の改正によって、必要な人が必要なときに利用しやすくなり、精神障害のある方を含め、多くの人が安心して地域で暮らし続けられる制度となることが期待されています。

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